今回はビジネス・モデルを記述するBusiness.mdの構造についてみていきます。
Business.mdの基本構造はCozyのオブジェクト・モデル記述に則っています。Cozyのオブジェクト・モデルを使ってビジネス・モデル用のモデル要素を導入することでオブジェクト・モデルを記述しています。
基本文法
Cozyモデルの文法はMarkdown文法の基本部を使用しており、ニッチな機能を使わなければ基本的にはMarkdownとして記述して大丈夫です。またMarkdownにない文法を必要に応じて追加しています。
基本構造
セクションの階層でモデルの基本構造を記述します。
第1階層であるセクションでは、セクション内に記述するモデルの種類を記述します。
ビジネス・モデルでは以下のモデル種別を使用しました。
- Overview : 概要
- System : ビジネス・システム
- Process : ビジネス・プロセス
- Actor : ビジネス・アクター
第2階層であるサブセクションでは、サブセクション名にモデル名を記述します。
オブジェクトの定義
オブジェクトの定義はオブジェクト用のサブセクションの中で行います。
クラス名
オブジェクトのクラス名はサブセクション名で記述します。
特性
特性(property)は以下の3つの形式で記述することができます。
- 表
- リスト
- プロパティ
オブジェクトに関する特性をプロパティとして記述します。
属性
属性(attribute)は以下の3つの形式で記述することができます。
- 表
- リスト
表
表で属性情報を記述する場合、以下のように名前(Name)、Type(型)、Multiplicity(多重度)のカラムにそれぞれのデータを記述します。
| Name | Type | Multiplicity | |-------+--------+--------------| | id | token | 1 | | name | string | 1 | | price | int | 1 |
型(Type)の対象はデータ型またはValueです。
属性の情報を記述した表と判定する方法は以下のとおりです。
まず以下のようにキャプション名Attributesの表が属性の対象となります。
: Attributes | Name | Type | Multiplicity | |-------+--------+--------------| | id | token | 1 | | name | string | 1 | | price | int | ? |
キャプション名がない場合は以下のルールで属性対象の表を特定します。
サブサブセクションAttributesがある場合は、その配下から属性の情報を特定します。
サブサブセクションAttributesがない場合、サブセクション直下に最初に現れた表またはリストが属性用の情報と判断されます。
リスト
リストで属性情報を記述する場合、以下のようにUMLベースの記法で属性名を記述します。
- id: token - name: string - price: token [?]
多重度は省略すると1となります。またUMLの記法に食わえて以下のマークを使うことができます。
- ? : 0..1
- + : 1..*
属性の情報を記述したリストと判定する方法は以下のとおりです。
サブサブセクションにAttributesがある場合は、その配下から属性の情報を特定します。
サブサブセクションAttributesがない場合、サブセクション直下に最初に現れた表またはリストが属性用の情報と判断されます。
関連
関連(association)も属性と同様に以下の2つの形式で記述することができます。
- 表
- リスト
表
表で関連情報を記述する場合、以下のようにName(名前)、Type(型)、Multiplicity(多重度)のカラムにそれぞれのデータを記述します。
| Name | Type | Multiplicity | |-------+------------+--------------| | items | OrderItems | * | | user | User | 1 |
型(Type)の対象はEntityです。
属性の情報を記述した表と判定する方法は以下のとおりです。
まず以下のようにキャプション名Attributesの表が属性の対象となります。
: Associations | Name | Type | Multiplicity | |-------+------------+--------------| | items | OrderItems | * | | user | User | 1 |
キャプション名がない場合は以下のルールで関連対象の表を特定します。
サブサブセクションAssociationsがある場合は、その配下から関連の情報を特定します。
リスト
リストで関連情報を記述する場合、以下のようにUMLベースの記法で関係を記述します。
- items: OrderItems [*] - user: User
属性と同様に多重度は省略すると1となります。またUMLの記法に食わえて以下のマークを使うことができます。
- ? : 0..1
- + : 1..*
属性の情報を記述したリストと判定する方法は以下のとおりです。
サブサブセクションにAssociationsがある場合は、その配下から属性の情報を特定します。
ビジネス・モデルの場合
今回のモデルでは、前述のモデル記述方法がどのように使われているかを確認します。
ビジネス・モデルでは以下のモデル種別を使用しました。
- Overview : 概要
- System : ビジネス・システム
- Process : ビジネス・プロセス
- Actor : ビジネス・アクター
Overview
Overviewセクションではモデルのスコープをリストによるプロパティ形式で記述しています。
- scope : business
System
以下の3つのシステムを定義しています。
- Pieris Books
- 店舗
- ECサイト
Pieris Booksシステムでは、Pierisシステムの説明文とともにシステムを構成する関連を定義しています。
店舗システムとECサイトシステムは現段階では文章のみです。
Process
以下の3つのビジネス・プロセスを定義しています。
- 店舗販売プロセス
- EC販売プロセス
- 在庫管理プロセス
各ビジネス・プロセスの詳細は現段階では文章のみです。
Actor
以下の9個のビジネス・アクターを定義しています。
- 店舗顧客
- EC顧客
- 外部ECサービス
- 決済サービス
- 配送サービス
- 店舗販売者
- 店舗運営者
- 販売管理者
- システム管理者
各ビジネス・アクターの詳細は現段階では文章のみです。
まとめ
今回はCozyモデル記述言語の基本的な文法とビジネス・モデルでの適用について説明しました。
次回はCozyモデル記述言語を使ってビジネス・プロセスの定義を行っていきます。