Pieris Books(ブックカフェ併設のセレクトショップ販売店)のシステム開発のプロジェクトを進めています。
現在はビジネス・モデルの作成中で以下のモデルを定義してきました。
- ビジネス・ビジョン
- ビジネス・ゴール
- ビジネス・コンテキスト図
続けてBusiness.md内に以下のビジネス・オブジェクトから構成されるビジネス・モデルの核になる部分を作成しました。
- ビジネス・システム
- ビジネス・プロセス
- ビジネス・アクター
このビジネス・モデルをビジネス・プロセスを中心に肉付けしていきます。
ビジネス・プロセスの構成要素
ビジネス・プロセスはビジネス・システム内で行われる活動を抽象化したモデルで、様々なビジネス・オブジェクトから構成されます。
ビジネス・プロセスを構成する主なビジネス・オブジェクトは以下になります。
ビジネス・オブジェクトの種類
ビジネス・オブジェクトの種類は以下になります。括弧内はステレオタイプです。
- ゴール (goal)
- 情報 (information)
- 抽象 (abstract)
- 物理 (physical)
- 人 (people)
リソースは「情報(information)」または「コト(things)」に分類されます。「コト(things)」は「抽象(abstract)」または「物理(physical)」に分類されます。そして「物理(pysical)」の中で人を「人(people)」とします。
ビジネス・オブジェクトとの関係
ビジネス・プロセスとビジネス・オブジェクト間の関係の種類は以下になります。括弧内はステレオタイプです。
- 入力
- 出力
- 達成 (achieve)
- 制御 (control)
- 提供 (supply)
入力と出力はビジネス・プロセスに対する入力と出力です。
「達成(achieve)」はゴール(goal)を関連付けます。
「制御(control)」はビジネス・プロセスを制御するリソースを関連付けます。ビジネス・プロセスに対して能動的に参加するリソースということになります。
「提供(supply)」はビジネス・プロセスから利用されるリソースを関連付けます。ビジネス・プロセスに対して受動的に参加するリソースということになります。
ビジネス・プロセス図
上記のビジネス・オブジェクトとビジネス・プロセスの関係をビジネス・プロセス図では以下のように記述します。
これと同等の情報をCozyモデルの記述方式でBusiness.mdに記述します。このモデルからビジネス・プロセス図が自動生成することを想定しています。
ビジネス・プロセスの振る舞い
ビジネス・プロセスの振る舞いモデルとして以下のモデルを作成します。
- ビジネス・ユースケース
- ビジネス・フロー
ビジネス・ユースケース
ビジネス・プロセス内でビジネス・アクターの目標を達成するために実行される物語です。
ビジネス・ユースケースを作成することでビジネス・プロセスに参加するビジネス・アクターを抽出することができます。
ユースケース・シナリオによって、このビジネス・アクターが対話するITシステムと、その対話内容を抽出することができ、ここからシステムの利用方法が分かります。
また、ユースケース・シナリオの中で以下のビジネス・オブジェクトを抽出することができます。
- ビジネス・イベント
- ビジネス・エンティティ
- ビジネス・ルール
ビジネス・フロー
ビジネス・プロセスの振る舞いをアクティビティ図などを使ったフローとして記述したものです。
ビジネス・ユースケースの物語を実現する業務の流れをモデル化します。
ビジネス・ユースケースと同様にビジネス・フローによって以下のビジネス・オブジェクトを抽出することができます。
- ビジネス・イベント
- ビジネス・エンティティ
- ビジネス・ルール
ビジネス・プロセスを実現するビジネス・オブジェクト
ビジネス・プロセスを実現するために使用するビジネス・オブジェクトの中で、ITシステム内で管理する候補となるものは以下になります。
いずれもビジネス・ユースケース、ビジネス・フローで抽出しています。
- ビジネス・アクター
- ビジネス・イベント
- ビジネス・エンティティ
- ビジネス・ルール
ビジネス・アクター
ビジネス・アクターはビジネス・システムの活動に参加する人や外部システムです。
人の場合は前述のビジネス・オブジェクトの種類では「人(information)」に分類されます。
ビジネス・プロセスに人として参加している場合、必ずしもITシステムと接点があるわけではありません。このためビジネス・アクターの中でITシステムと接点のあるものがITシステムのアクターの候補となります。
ビジネス・イベント
ビジネスの活動の中で発行されるイベントです。ビジネス・ユースケースまたはビジネス・フローで抽出します。
ビジネス・オブジェクトの種類では「情報(information)」に分類されます。
ドメイン・イベントの候補となります。
ビジネス・エンティティ
ビジネスの活動の中で管理して更新するエンティティ(永続オブジェクト)です。
ビジネス・ユースケースまたはビジネス・フローで抽出します。
ビジネス・プロセスの動的モデルはエンティティの状態遷移が基本となります。
ビジネス・オブジェクトの種類では「情報(information)」に分類されます。
ドメイン・エンティティの候補となります。
ビジネス・ルール
ビジネス・プロセスの振る舞いを規制したり、各種計算を行う規則です。
ビジネス・オブジェクトの種類では「情報(information)」に分類されます。
ドメイン・ルールの候補となります。
まとめ
今回はビジネス・プロセスの構成要素について整理しました。
次回からビジネス・プロセスを構成する個々のビジネス・オブジェクトの検討に入っていきます。
次回はビジネス・ユースケースについて検討します。