ドメインモデルとデータストアのマッピングについて検討を始めたところで、話がだいぶそれてきましたが、もう少しそれてみたいと思います。
DomainResourceとServiceResourceを導入したので、試しにDomainResourceとServiceResourceが混在するドメインモデルについて具体的に考えてみました。
以下の図はTwitterのタイムラインを監視して、何らかの基準に沿ったツイートを検出し、何かの対応をすることを管理するタスクを起票するアプリケーションのドメインモデルです。タスクはNozbeのタスクとBacklogの課題として2つのサービスに同時に作成します。
こういったNozbeのタスクやBacklogの課題といった「概念」上は抽象の中に隠蔽されるオブジェクトをPIM段階のドメインモデルでどう扱うのか、というのが論点の一つ、というのがここまでの話でした。DomainResourceとServiceResourceを導入したメタモデルでは、抽象「概念」として隠蔽したいケース、具象「概念」として明示したいケースの両方に対応できるというのがミソです。
この図は具象概念として明示したいケースになります。
ドメインモデルでタスクとして扱うものは、実際には主にNozbeとBacklog上で利用者からの操作を行うことを想定しています。しかし、NozbeとBacklog間の同期やアプリケーション側での操作の目的で、自前のデータベースで管理するオブジェクトも必要になります。このオブジェクトがDomainResourceタスクです。そして、タスクからNozbeTaskとBacklog課題を集約(aggregation)します。
一方、アプリケーションが扱うイベントとしてDomainEventタスク起票とServiceEventTweet発生を定義しています。よりモデルの汎用化を進めるならServiceEventTweet発生に対応するDomainEventTweet発生を定義して抽象化しておくというアプローチも考えられます。
ドメインモデルの記述対象のスコープにも色々な切り口がありますが、一般的なのはデータベースに格納するデータの範囲です。この図の場合、DomainEventタスク起票, DomainResourceタスクがこれに当たります。
モデル駆動開発によるコードの自動生成でも、データベースに格納するオブジェクトの範囲の自動生成はすでに実用化されており、安定状態にある技術です。つまり、DomainEventタスク起票, DomainResourceタスクは自動生成のスコープ内に入ってきます。
しかし、ドメインモデルの記述がこの範囲であれば、自動生成の対象範囲もここまでということになります。
ServiceResourceやServiceEventといった外部サービスが提供するドメインオブジェクトを導入する目的は、もちろんドメインモデルの精度を上げることもありますが、実利的にはサービスが生成するイベントやリソースに対応するコードの自動生成を行える可能性が出てくることが大きいでしょう。
ServiceResourceやServiceEventをドメインモデル上で扱うことによって、twitterのストリームを監視したり、RESTで各種サービスのリソースに対してアクセスをしたりといったコードを生成することは技術的には十分射程範囲です。こういった、アプリケーションの部品として何回も何回も繰り返し作り続けられている処理を定型化して、自動生成の対象にできることが、モデリングという要求と実装の中間に位置する作業を行う具体的な価値であり、大きな動機です。このスコープを広げるために、ドメインモデルのメタモデルの拡張と、メタモデルと実装とのマッピングを進めていくことが重要となってきます。
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