自前で管理するデータだけでなく外部データを編みこんだドメインモデルに対して、アプリケーションが操作を行うことになります。
また、スケーラビリティを確保するため、CQRSのように参照系と更新系をアーキテクチャレベルで分割していく形が基本になるでしょう。
これは、自前データのサイズが巨大になる場合への対応にも有効ですが、外部データとの連携では必須のアーキテクチャです。自前データが巨大にならない普通のアプリケーションでも、外部データとの連携を行うのであれば、このアーキテクチャを採るのが得策です。
ドメインモデル
このアーキテクチャの上でドメインモデルは、以下の3つの種類に分類するのがよいのではないかというのがアイデア。- Application Domain
- Actor Domain
- Fact Domain
Application Domainは、アプリケーションが操作するドメイン。自前データと外部データをマッシュアップして見せます。
従来のドメインモデルとの違いは、外部データをマッシュアップすること。マッシュアップを行う場合、更新系を含めると実現方法が大変になってくるので、参照系を中心にするとよいでしょう。都合のよいことに参照系と更新系を分離するアーキテクチャにもマッチしています。
従来技術でもRDBMSのViewなどでこういった事が可能ですが、これをもっとアーキテクチャレベルで大掛かりにやるイメージです。(そういう意味ではデータベースの3層スキーマが近しいかも。)
外部データは、Actor Domainとしてモデル化します。Actor Objectは、アプリケーション外にあるオブジェクト(の代理オブジェクト)という意味ですが、このドメインモデル版という意図でActor Domainという名前にしてみました。
Actor Objectの場合、自前のオブジェクトでないので、決められた範囲でお願いはできるけど自由に操作できないという処理上の制約が出てきます。
Actor Domainもそういった制約を持ったドメインモデルをイメージしています。
そして、Actor Domainの外側にFact Domainを持ってきました。
Fact Domainは、クラウド上で発生する無数のイベントの生データをイメージしています。たとえばアプリケーションのログや、データベースのジャーナルなどです。
Actor Domainはアプリケーションの外部で、Fact Domainのデータを集約し、意味を付加したモデルとしてモデルインスタンスが公開されています。
Application Domainは、このAcotr Domainのインスタンスを、自前データとマッシュアップして、アプリケーションに取って意味のあるモデルのインスタンスとして、アプリケーションに提供します。
更新系
更新系には、Application Commandというモジュールを用意しました。(Commandというのは仮です。他によい名前があったら取り替えると思います。)Application Commandは自前のデータの更新を中心に、Application Domainへの更新依頼、Fact Domainの情報提供を行います。
Application Domainへの更新依頼はあまり多くないという仮定で点線にしてみました。
モデリング技術
こういったデータアーキテクチャを採る場合のモデリング技術として、どうも文書モデリング(SGML, XML系)が有効でないかというのが、データアーキテクチャと同時に思いついたアイデア。従来アプリケーションでは、データモデル/オブジェクトモデルがモデリングの中心でしたが、ここまで説明してきたようなマッシュアップが基本となるデータアーキテクチャでは、異なったセマンティクスのモデルをマッシュアップする基盤として文書モデリングが重要になってくるのではないかということです。
2000年頃にも、こういう話題がよく出たと思いますが、クラウド時代になって改めて、この技術を適用する形が見えてきた感触です。
ただし、今回はXMLという文脈でなく、関数型という文脈ではないかというのが、今回のアイデアの軸。関数型プログラミングと文書モデリングの相性は相当よさそうです。
XMLはデータ表現形式としてはよいのですが、データ操作体系としてはまだまだ不十分でした。ここを関数型言語ですっきりと記述することが可能になってきたのは一つミッシングリンクが埋まってきた感じです。
オブジェクトモデル、データモデル、文書モデル、関数モデル。
Application Domainのメタモデルとして、4つのモデルをどのように配合していくとよいのか。まだまだノーアイデアですが、未開拓の領域だけに色々と面白そうです。
クラウドも現時点では、プラットフォーム技術やフレームワーク、プログラミング言語といった実装よりの技術に焦点があっていますが、次の段階ではこういったモデリング技術の所に焦点が移ってくるのではないかと考えています。
0 件のコメント:
コメントを投稿