10月20日(土)に横浜モデリング勉強会(facebook group)を行いました。また、会場には(株)アットウェア様の会議室をお借りしました。参加された皆さん、アットウェア様、どうもありがとうございました。
この勉強会で、浅海が作成したモデルを紹介します。モデルはMindmapModelingの手法で作成しました。(勉強会で使用したチュートリアル)
ワークショップの流れ
モデリング勉強会はワークショップ形式で以下の作業を行います。
- 雑誌記事から情報システムの企画書、提案書、RFPの元ネタとなるモデルを作成する。
その上で、「要求仕様確認、実装可能性確認、開発のベースとなるプログラムを自動生成するモデルを目指」します。詳細は「ワークショップの進め方 第2版」になります。
テーマ
モデリングの対象は、アドタイ誌の記事「オンライン・ツー・オフライン(O2O)は、これからどう近づくか?」です。
この記事を中心に記事に登場するO2Oを活用している2つの会社「ニーマン・マーカス」、「ホールフーズマーケット」のO2Oのモデルを作成します。記事は短いので必要に応じて他のサイトの情報を参照します。
用語の収集と整理
まず用語の収集と整理します。
MindmapModelingに慣れてくると、用語がだいたいどこの枝に収まるのかわかるようになるので、用語を拾いながらラフなモデルを作っていきます。
今回の記事は、高級でデパート「ニーマン・マーカス」とスーパーマーケット「ホールフーズ・マーケット」のどちらかを選択するという趣旨だったのですが、「コミュニティを作る」という意味では共通部分が多いと感じたので、「ニーマン・マーカス」と「ホールフーズ・マーケット」を合体させたモデルを作成することにしました。
物語
次の作業は「物語」です。
モデルは中心軸がないと単なる「用語」の集りなのでまとまりがでてきません。何らかの目的を実現するための構造を抽出したいわけですが、この「目的」と「目的を実現するための構造」を掬いとるためのツールとして有効なのが「物語」です。オブジェクト・モデリングの概念ではビジネス・ユースケースということになります。
「物語」を中心軸と定め、「物語」のスコープで用語を取捨選択、組織化し、足りない用語を補っていきます。
その手順は:
- 物語の名前をつける。目的(goal)が明確になる名前がよい。
- 物語の主人公、相手役、脇役などの登場人物を定める。
- 物語で使用する道具を定める。
- 出来事または脚本の列として脚本を記述する。
となります。2の登場人物と3の道具は最初から完全なものはできないので暫定的なものを定め、4の脚本の作業を通して洗練させていきます。
「物語」の作成を軸に、「出来事」の整理、「道具」の整理を進めました。
物語としては、ニーマン・マーカス由来の「顧客と専任スタッフの信頼関係を作る」、ホールフーズマーケット由来の「顧客とスタッフでコミュニティを作る」の2つの物語を軸にしています。どちらも、顧客と会社の間のコミュニティを醸成するという意味では共通しているのでこの観点でリソース(道具)の抽出、リソース間関係の整備などを行なっています。
今回はこの段階で時間切れになりました。
クラス図
この段階でのマインドマップをSimpleModelerでクラス図化したものが以下になります。
まだ、ビジネス・ユースケース→イベント→リソースの関係が作りこまれていないので、横に平べったくなっています。
モデリングを続けるとすると、そのあたりを伸ばしていく感じですね。
ノート
今回のモデリングでは以下の2つの機能拡張を試してみました。
- トレイト
- 物語の集約関係
トレイト
最近、モデル駆動を前提とした概念モデリングでもトレイトというモデル要素を導入するのが有効ではないかと考えています。
この目的でSimpleModelerにもトレイトを導入しました。
今回のモデルでは「共有したい物語」トレイトとして使用しています。
物語の集約関係
物語(business use case)は主役(primary actor)の視点で進めることが基本ですが、ある大きな物語とその内部のエピソードとなる物語で視点が異なることがあります。
今回のモデルでは「顧客と専任スタッフの信頼関係を作る」という物語は小売業企業の視点ですが、そのエピソードとなる「店舗で商品選択のアドバイスをもらう」は顧客(買物客)の視点になります。
この支店の異なる物語の入れ子関係を物語間に集約関係を導入するとモデルを的確に記述できそうということが分かってきました。この目的で勉強会の後にSimpleModelerを拡張しました。
前述の図は、改造後のSimpleModelerで生成したものです。
次回
次回は11月17日(土)です。
詳細情報はfacebookグループ「横浜モデリング勉強会」を参照してください。
今回と同じく「ワークショップの進め方 第2版」の手順で、「雑誌記事から情報システムの企画書、提案書、RFPの元ネタとなるモデルを作成する」を行う予定です。
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