2012年8月31日金曜日

Scala Tips / Scala 2.10味見(3) - Future

Scala 2.10の目玉機能の一つは並行プログラミング機能の大幅な刷新です。「SIP-14 - Futures and Promises」にもあるようにScala Aactors、Akka、Finagle、Scalazと乱立する並行プログラミング・フレームワークの共通基盤を提供するのが目的のようです。

並行プログラミングの重要機能の一つにfutureまたはpromiseがあります。Wikipediaによるとfutureとpromiseは基本的に同じ意味を持つと考えてよいようです。

Scala 2.10ではFutureとPromiseの2つのオブジェクトを導入していますが、futureとpromiseの用語法は知った上で、あえて別機能を持った2つのオブジェクトとして提供している、ということだと思います。

今回はその一つFutureがテーマです。Futureの機能も色々あるのでまず簡単な使い方を調べてみます。

準備

準備として引数の数値×100msウェイト後、引数の数値をそのまま帰す関数gを定義します。

  1. val g = (x: Int) => {    
  2.   Thread.sleep(x * 100)  
  3.   x    
  4. }  

値を取り出す

Futureオブジェクトの最も典型的な使い方である処理を非同期実行した後、同期待ち合わせを行い、実行結果を受け取る処理です。

  1. def f1: Int = {  
  2.   import scala.concurrent._  
  3.   import scala.concurrent.util.Duration  
  4.   import ExecutionContext.Implicits.global  
  5.   
  6.   val f = future { g(1) }  
  7.   Await.result(f, Duration.Inf)  
  8. }  

実行結果は以下になります。

scala> f1
res154: Int = 1

futureと聞いてイメージするのは、java.util.concurrent.Futureもそうなっているように、futureの実行結果をgetメソッドで取得すると自動的に非同期実行の待ち合わせを行なってくれ、非同期実行を意識することなく実行結果を得ることができるオブジェクトです。

しかし2.10のFutureではgetメソッドは提供されておらず、現在の状況をノンブロッキングで取得するvalueメソッドが提供されています。そして、Futureの結果をブロックして取得するには外付けのAwaitオブジェクトを用いるようになっています。

SIP-14にも「blocking on a future is strongly discouraged」とありますので、この使い方はあまり推奨されていないようです。

Callback

その代わりに推奨されているのがCallbackです。mapやflatMapといったコンビネータを使って関数を合成していく使い方で、いわゆるCPS(Continuation passing style)と通じるスタイルです。

以下では関数gをFuture内で実行した後、mapメソッドで再度実行させ、その結果をonCompleteメソッドで受け取っています。

  1. def f2 {   
  2.   import scala.concurrent._  
  3.   import scala.concurrent.util.Duration  
  4.   import scala.util.{Success, Failure}  
  5.   import ExecutionContext.Implicits.global  
  6.   
  7.   val f = future { g(1) } map { x =>   
  8.     g(x + 1)  
  9.   } onComplete {  
  10.     case Success(x) => println("success = " + x)  
  11.     case Failure(e) => println("failure = " + e)  
  12.   }  
  13. }  

f2を実行結果すると…

scala> f2

しばらくするとコンソールに以下の文字列が表示されます。

success = 2
Try

FutureのonCompleteメソッドは以前はEitherを渡してきましたが、M7ではTryを渡すようになっています。

Togetterのscala.util.TryによるとTryはあまり評判がよくないようなので、もしかしたら再度仕様変更があるかもしれません。

ノート

2.10のFutureオブジェクトはfutureの実行待ち合わせを行うgetメソッドが基本機能として提供されていないことから分かるように、CPS的な並行プログラミングを指向した設計思想のようです。

これは、Actorと組合せて使うことを念頭に置いているのも影響しているかもしれません。

イベント駆動のアプリケーションを作る場合は、CPSスタイルでもよいのですが、大規模演算を並列実行したいような場合は"普通の"futureの使い勝手が欲しいような気もします。たとえばScalazのPromiseのような使い方ですね。

2.10の並行プログラミング周りはまだまだ仕様が安定していない感じなので、この点も含めて今後どうなるかウォッチしていきたいと思います。

諸元

  • Scala 2.10.0-M7

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