SimpleModelerでは、アプリケーション開発のベースとなるドメインモデルの実装を「自動コーディング」します。この部分はドメインモデルが決まれば、プラットフォーム上での実装はほぼ決まるので自動生成の格好のターゲットです。逆に、この部分を手組みでコーディングしていると相当の工数が必要となります。プログラム開発の生産性を上げるためには、この部分の生産性向上が重要になってきます。
ただし、エンティティに対するCRUD処理については自動生成である程度のモノを生成可能です。アプリケーション部分のサンプルという意味もこめて、データに対するCRUD処理を行なうActivityを生成する予定で、一部実現しています。
現在SimpleModelerが自動生成しているのは、サーバー上に格納されているエンティティCustomerをREST経由でアクセスして一覧表示を行うプログラムが以下のCustomerRestViewActivityです。
package com.demo; import android.content.Context; import android.os.Bundle; import java.math.*; import java.util.*; import org.goldenport.android.*; import org.goldenport.android.traits.ListViewTrait; public class CustomerRestViewActivity extends GActivity<DemoController> { // @LayoutView(R.id.header) // TextView mHeader; // @ResourceString(R.string.header) // String mHeaderLabel; // @ResourceColor(R.color.header) // Color mHeaderColor; // @IntentExtra("message") // String mMessage; public CustomerRestViewActivity() { addTrait(new ListViewTrait()); } @Override protected void onCreate(Bundle savedInstanceState) { super.onCreate(savedInstanceState); } @Override protected int get_Layout_id() { return R.layout.customer_rest_view; } @Override protected void onStart() { super.onStart(); // if (mMessage != null) { // mHeader.setText(mMessage); // } else { // mHeader.setText(mHeaderLabel); // } set_list_adapter(gcontroller.getCustomerRestFeedAdapter()); } }
GActivity
CustomerRestViewActivityは、サーバー上に格納されているエンティティCustomerをRESTでアクセスしてListViewの一覧として表示するActivityです。基底クラスはGActivityで、型パラメータとしてDemoアプリケーションのコントローラであるDemoControllerを指定しています。
org.goldenport.android.GActivityが、g4におけるActivityの基底クラスです。主に以下の機能を提供しています。
- DI
- コントローラクラスの自動バインド
- トレイトによる機能拡張
- 非同期更新処理
DI(Dependency Injection)
g4では、Google Guice (without AOP)を用いたDIコンテナ機能を提供しています。XMLで定義された各種ViewやリソースをActivityのインスタンス変数に自動インジェクトすることができます。自動生成されたCustomerRestViewActivityを、自前で拡張するためのヒントとして以下のコメントが入っています。
この機能は次回の記事で説明することにします。
// @LayoutView(R.id.header) // TextView mHeader; // @ResourceString(R.string.header) // String mHeaderLabel; // @ResourceColor(R.color.header) // Color mHeaderColor; // @IntentExtra("message") // String mMessage;
コントローラクラスの自動バインド
g4では、画面表示を行うクラスであるGActivity(Activityのサブクラス)から、アプリケーション・ロジックを分離してコントローラとして実装します。コントローラはGControllerのサブクラスになります。Activityからアプリケーションロジックを分離して、コントローラ側で実現することにより、以下の効果を期待しています。
- アプリケーション全体のロジックをコントローラに集中させることで、アプリケーションの見通しを良くし、拡張性、保守性を高める。
- GUIを経由しないで、アプリケーションロジックのユニットを可能にする。
- アプリケーションロジックを複数のActivityから共用できる。
生成されたonStartメソッドにはヒントのコメントがあります。この不要なコメントを削除したonStartメソッドは以下のものになります。
@Override protected void onStart() { super.onStart(); set_list_adapter(gcontroller.getCustomerRestFeedAdapter()); }「super.onStart()」はお約束。
set_list_adapterメソッドで、コントローラから返されるListAdapterを設定しています。
GActivityで定義しているインスタンス変数gcontrollerから参照しているコントローラ(DemoController)から、ドメインエンティティCustomerをRESTのフィードとしてアクセスするListAdapterを取得しています。
このListAdapterは、バックエンドにページング付きのREST通信と通信結果のキャッシュ機能を持っています。この機能を実現するために、SimpldeModelerが生成するAndroidコードで説明したとおり、ActivityからRESTドライバにいたるまで相当数のコードが自動生成されています。また、g4ベースでサーバサイドのコードも自動生成していることは、SimpleModeler (クラウド温泉@小樽)で触れました。このあたりのメカニズムはいずれ紹介したいと思います。
トレイトによる機能拡張
ActivityにListViewやGralleryなどを操作するロジックをハードコーディングしてしまうと、ロジックを他の目的に再利用させることができません。これらの機能を持つ基底クラスを作るのが次善策ですが、拡張性や保守性に問題があります。
この問題を解決するために、g4ではScalaのトレイトライクなメカニズムを導入しました。
ListViewTraitは、ListViewを操作する機能を持つトレイトです。GActivityのaddTraitメソッドによりListViewTraitを追加することによりGActivityにListViewを操作する機能が追加されます。
以下のようにコンストラクタでトレイトListViweTraitを追加しています。
public CustomerRestViewActivity() { addTrait(new ListViewTrait()); }
非同期更新処理
ListViewTraitが内部で自動的にハンドリングしているので、CustomerRestViewActivityには直接みえていません。ListViewTraitが、一覧データのローディング時にプログレスバーを画面上に表示し、ローディングが完了した時点で表示を終了する処理を行っています。
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