2012年6月18日月曜日

MindmapModeling「小林製薬はなぜアイデア新商品を生み出せるのか」

6月18日(土)に横浜モデリング勉強会(facebook group)を行いました。また、会場には(株)アットウェア様の会議室をお借りしました。参加された皆さん、アットウェア様、どうもありがとうございました。

この勉強会で、浅海が作成したモデルを紹介します。モデルはMindmapModelingの手法で作成しました。(勉強会で使用したチュートリアル)

ここ数回、勉強会の進め方を模索していますが、今回は勉強会の進め方を以下のようにすることにしました。

モデル駆動による実装を指向するのは変わりませんが、時間的にプログラミングの所まではいけません。そこで「記事」と「プログラミング」を「モデル駆動」でつなぐあいだにある中継地点を探しているわけですが、今回は以下のようにしてみました。

  • 雑誌記事から情報システムの企画書、提案書、RFPの元ネタとなるモデルを作成する。

その上で、「要求仕様確認、実装可能性確認、開発のベースとなるプログラムを自動生成するモデルを目指」します。詳細は「ワークショップの進め方 (2012-06-16)」になります。

今回試してみてちょうど良い感じだったので、次回以降もこの方法で進めていこうと思います。

テーマ

モデリングの対象は、日経ビジネス誌の記事「小林製薬はなぜアイデア新商品を生み出せるのか」です。

「製品開発のアイデアを管理するシステム」という切り口で、企画書、提案書、RFPのネタとしてぴったりの内容です。

用語の収集と整理

まず用語の収集と整理します。

MindmapModelingに慣れてくると、用語がだいたいどこの枝に収まるのかわかるようになるので、用語を拾いながら、ラフなモデルを作っていきます。




今回の記事、モデルで特徴的なのは「規則(rule)」が明確になっているということです。ここでは以下の規則を抽出しています。

  • 新製品は発売初年の製品
  • 準新製品は発売4年以内の製品 (準新製品の用語はモデリングのために導入)
  • 売上高に占める新製品比率の目標は10%
  • 売上高に占める準新製品比率の目標は35%
  • 小林式ノーム式

ビジネスシステムの軸としてビジネス・ルールを定め、各ビジネス・プロセスのパフォーマンスをこれらのルールで計測した結果を元にフィードバックをかけている事が分かります。

いわゆるPDCAサイクルがうまくまわっているのが、「小林製薬はなぜアイデア新商品を生み出せるのか」の理由ということのアタリがつくので、これを支援するための情報システムの企画というのが落とし所になりそうです。

物語

次の作業は「物語」です。

モデルは中心軸がないと単なる「用語」の集りなのでまとまりがでてきません。何らかの目的を実現するための構造を抽出したいわけですが、この「目的」と「目的を実現するための構造」を掬いとるためのツールとして有効なのが「物語」です。オブジェクト・モデリングの概念ではビジネス・ユースケースということになります。

「物語」を中心軸と定め、「物語」のスコープで用語を取捨選択、組織化し、足りない用語を補っていきます。

その手順は:

  1. 物語の名前をつける。目的(goal)が明確になる名前がよい。
  2. 物語の主人公、相手役、脇役などの登場人物を定める。
  3. 物語で使用する道具を定める。
  4. 出来事または脚本の列として脚本を記述する。

となります。2の登場人物と3の道具は最初から完全なものはできないので暫定的なものを定め、4の脚本の作業を通して洗練させていきます。




今回の作業では、最初の物語を「アイデアを製品というカタチにしていく」と定めました。そして、脚本を作る作業を先に進めました。

脚本を書く中で、重要な道具が「提案」と「製品」であることが分かってきたので、この構造の整理を同時に行なっています。構造の整理を進めると、区分(powertype)と役割(role)が明確になってきます。区分(powertype)と役割(role)がどの程度整備されてきているのかがモデリングの充実度の目安になります。

また、規則の候補として「製品のグロスプロフィット率」が抽出できました。(規則の枝にはマージができていませんが)

最終型

前述の方針でさらに洗練を進めたモデルが以下になります。



製品開発のPDCA全体を回すシステムを目指したいわけですが、記事の情報からモデルの内容はP(Plan)の部分が厚くなっています。脚本の「提案を収集する」、「提案を仕分けする」のあたりですね。

時間切れでモデルはここまでとなりました。

この後の伸ばし方としては、PDCAサイクルの各フェーズに対応するサブ物語を定め、各サブ物語の脚本を詳細化していくなかで、システムの全体像を洗い出すことを目指します。その後:

  • ロバストネス分析をかけてビジネス・システム全体のアーキテクチャモデルの作成
  • システムユースケースからロバストネス分析をかけて情報システムの作成

といった手順を踏んでいくことになります。

クラス図

SimpleModelerでクラス図化したものが以下になります。



クラス図をみると、MindmapModelingのモデル上でまだうまくつながっていないところがあるのが分かります。まだ整備が必要ですが、情報システムを考える上での元ネタとなるモデルには仕上がってきていると思います。

さらに作業を続けるとすると、このクラス図の結果から修正すべきポイントをMindmapModelingモデルに反映してさらに洗練を進めていき、キリのいいところでScala DSLを生成してプロトタイプ開発に入っていく流れになります。

ワークショップでの作業時間は2時から6時までの4時間なので、だいたいこのあたりのモデルになるのが目処になります。

次回

次回は7月21日(土)です。

今回と同じく「ワークショップの進め方 (2012-06-16)」の手順で、「雑誌記事から情報システムの企画書、提案書、RFPの元ネタとなるモデルを作成する」を行う予定です。

0 件のコメント:

コメントを投稿