Kaleidoxでは、実用的に利用できるアクション言語としてXML, HTML, JSON, CSV, Excelといったクラウドアプリケーションで使用する各種データ形式を簡単に扱えるようになっています。
前々回、前回とXMLとHTMLの操作方法について紹介しました。
今回はJSONの操作方法について紹介します。
JSONリテラル
例として以下のJSON文書を考えます。
また、このJSON文書を格納したJSONファイルをfile.jsonとして用意します。
{ "id": "0001", "name": "taro", "point": 100 }
リテラル記述
KaleidoxではJSON文書をそのままリテラルとして記述することができます。
REPLでも以下のように直接入力することができます。
kaleidox> { "id": "0001", "name": "taro", "point": 100 } {\n "id": "0001",\n "name": "taro",\n "point": 100\n}
ファイル入力
REPLでJSON文書が格納されているJSONファイルからJSON文書を取り込む時は以下のようにJSONファイルのURLを記述すればOKです。
kaleidox> file:sample.json {\n "id": "0001",\n "name": "taro",\n "point": 100\n}\n
この例はプロトコルに「file」を指定してローカルファイルを読み込んでいますが、「http」を指定してリモートファイルを読み込むこともできます。
kaleidox> http://example.com/sample.json {\n "id": "0001",\n "name": "taro",\n "point": 100\n}\n
XPath
KaleidoxではJSON文書に対してXPathでパス検索をかけることができます。
{ "id": "0001", "name": "taro", "point": 100 }
まずJSONファイルsample.jsonに対してXPath「@name」で検索すると以下になります。
JSON文書にある属性nameの値を取得することができました。
kaleidox> @name file:sample.json "taro"
次にXPath「/name」で検索すると以下になります。こちらもJSON文書にある属性nameの値を取得することができました。
JSONにはXMLにある属性と要素の区別がないので、要素に対する検索ですがJSONの属性に対しても有効になっています。
kaleidox> /name file:sample.json "taro"
XSLT
KaleidoxはJSON文書をXML文書にみたててXSLT変換を行うことができます。
サンプルとして使用しているJSON文書です。
{ "id": "0001", "name": "taro", "point": 100 }
このJSON文書に対して提供するXSL記述は以下になります。
<?xml version="1.0" encoding="Shift_JIS"?> <xsl:stylesheet xmlns:xsl="http://www.w3.org/1999/XSL/Transform" version="1.0"> <xsl:output method="html"></xsl:output> <xsl:template match="/"> <HTML> <BODY> <xsl:apply-templates/> </BODY> </HTML> </xsl:template> <xsl:template match="record"> <TABLE> <THEAD> <TR> <TH>ID</TH> <TH>Name</TH> <TH>Point</TH> </TR> </THEAD> <TBODY> <TR> <TD><xsl:value-of select="id"/></TD> <TD><xsl:value-of select="name"/></TD> <TD><xsl:value-of select="point"/></TD> </TR> </TBODY> </TABLE> </xsl:template> </xsl:stylesheet>
XMLやHTMLの場合と同様にXSLファイルに続けてJSONファイルを指定するとXSL変換が行われます。
kaleidox> file:sample.xsl file:sample.json <HTML><BODY><TABLE><THEAD><TR><TH>ID</TH> <TH>Name</TH><TH>Point</TH></TR>...
変換後のXML文書を詳細を表示すると以下になります。
無事XSLTでJSONファイルをHTML文書に変換することができました。
kaleidox> :show:print <HTML><BODY><TABLE><THEAD><TR><TH>ID</TH> <TH>Name</TH><TH>Point</TH></TR></THEAD> <TBODY><TR><TD>0001</TD><TD>taro</TD> <TD>100</TD></TR></TBODY></TABLE> </BODY></HTML>
Table
XMLやHTMLと同様にJSON文書で記述した表情報をTableデータとして扱うことができます。
サンプルとして使用しているJSON文書です。
{ "id": "0001", "name": "taro", "point": 100 }
このJSON文書に対してtable-make関数を適用します。
kaleidox> table-make file:sample.json Table[3x1]
その結果、幅3、高さ1の表を得ることができました。
この表の内容をshowコマンドで表示すると以下になります。無事HTMLの表の内容を取得できています。
kaleidox> :show Table[3x1] ┏━━━━┯━━━━┯━━━━━┓ ┃id │name│point┃ ┣━━━━┿━━━━┿━━━━━┫ ┃0001│taro│100 ┃ ┗━━━━┷━━━━┷━━━━━┛
JSON文書がJson Objectの場合は1行のテーブルに変換されます。
レコードシーケンス
JSON文書がJson Objectの配列だった場合は配列の長さ分の行を持ったテーブルに変換されます。
まずJson Objectの配列を持ったJSON文書を用意します。
[{ "id": "0001", "name": "taro", "point": 100 },{ "id": "0002", "name": "hanako", "point": 200 }]
このJSON文書に対してtable-make関数を適用します。
kaleidox> table-make file:sample-table.json Table[3x2]
その結果、幅3、高さ2の表を得ることができました。
この表の内容をshowコマンドで表示すると以下になります。無事HTMLの表の内容を取得できています。
kaleidox> :show:print ┏━━━━┯━━━━━━┯━━━━━┓ ┃id │name │point┃ ┣━━━━┿━━━━━━┿━━━━━┫ ┃0001│taro │100 ┃ ┠────┼──────┼─────┨ ┃0002│hanako│200 ┃ ┗━━━━┷━━━━━━┷━━━━━┛
まとめ
今回はJSONの操作について説明しました。
JSONではXPath(パス検索)はXSLT(データ変換)といったXMLで用意されている便利な機能が基本機能として提供されていません。
KaleidoxではJSON文書をXML文書として操作可能にすることで、XMLの便利な機能をJSON文書にも適用できるようにしました。
前々回、前回、今回でXML、HTML、JSONの操作方法についてみてきました。
KaleidoxではXML、HTML、JSONについて詳細を意識することなくシームレスに操作することができることを確認できました。
次回はこのメカニズムの土台となっているRecordについてみていく予定です。
諸元
- Kaleidox : 0.1.5